サケ学入門 自然史・水産・文化
編著:阿部周一
「サケ類とアイヌ民族の関わり」、「カムバック・サーモン運動」に関する記述がある
併せて確認:「サケよ豊平川をのぼれ さっぽろサケの会の記録(吉崎- 1982)」
1977年の秋、吉崎氏は釣り仲間でフリーライターの鍛治英介氏と釣りに行った帰りにこんな話をした。
「豊平川でサクラマスがみられるようになったそうだね」
豊平川には昭和49(1974)年から「北海道のヤマメを守る会」によってヤマメの放流が行われていたのだ。
(中略)
しかし鍛治英介氏はこうも続ける。
「たしかにそうですねえ、しかしサクラマスならあまり驚かない人でも、豊平川にサケが帰ったとしたら、これは飛び上がりますよ。楽しいでしょうね」
(中略)
蛇口をひねれば水が出る、その水が豊平川の伏流水だと札幌市民は知らずにいるのではないか。豊平川の水の恩恵を忘れ去り、川を汚し、川の姿に手を加え、風情がないと見捨てている。川と人間の関係を改善するためにサケが帰ることが大きな働きをもたらすかもしれない。
さっぽろ「サケ」の憲章
一、豊平川にのぼるサケは市民の心に「自然」を贈ります。
一、豊平川にのぼるサケは資源の可能性を教えます。
一、豊平川にのぼるサケは美しい環境をつくります。
一、豊平川にのぼるサケは新しい市民意識を育てます。
一、豊平川にのぼるサケは明るい未来を招きます。